11年勤めた製薬業界を今月末で引退します。今後戻る可能性はないと思っています。理由は単純に「くだらない」からです。仕事内容の現状と考えについてまとめてみます。
仕事内容
製薬会社の営業はMRと呼ばれています。
MR(Medical Representatives)とは直訳すると医薬情報担当者と訳されますが、要は製薬会社の営業マンです。
その名の通り自社の医療用医薬品を病院、医師に営業し処方してもらうことにより売上を上げる仕事です。
私がMRになる前の話ですが、どれだけ医師と仲良くなるかが勝負で、仲良くなること=売上が上がるという時代がありました。
仲良くなる為に、接待をしたりゴルフに行ったり、御用聞きをしたりすることが許されていた時代でした。
ですが、論文の不正が発覚する等、製薬会社の営業スタイルが問題視され、上記の様な活動は現在は禁止されるに至っております。
最近の動向
上記の様に医師に接待を行う等の活動は禁止されているわけですが、規制はそれだけに留まらずプロモーション全般が厳しく規制される様になって来ています。
例えば…
- エビデンスがないことをプロモーションすると罰則がある
- 食事・弁当の提供の際のルールが厳格化された
等々、他の業界からみたら普通のことかもしれませんが規制がどんどん進んでおります。
規制が進んだ結果、各社「法令遵守」を第一に掲げ、上記規制よりも厳しい社内ルールを整備している会社が多数となっています。
規制が進んだ結果どうなったか…
- 個人の裁量がなくなり差別化が難しくなった
- 活動の均一化が進んだ
- 薬剤特性が正当に評価される様になった
営業個人の個性で売上を上げるという要素が縮小し、薬剤が正当に評価される割合が上がったと感じています。会社側としても、個人の力で売る力のある営業より、法令を遵守し会社の指示通りに動いてくれる営業を求めているわけです。
個人的には良いことだと感じておりますが、今の状況が逆戻りせず、今後さらに加速していくことが間違いない中、働いていて疑問や不安も生じてくるわけです。
- 営業が人である必要があるのか?
- スキルは身に付くか?
- 良い薬を開発さえすれば良いのではないか?
といったことがここ数年頭の中でずっとモヤモヤしていました。
やめる理由
更に弊害も生まれています。個性、売上で差別化出来なくなってくるとどうやって評価を上げるのか。そう、社内営業です。媚売り能力だけがやたら高い人間が出世する世界になってしまいました。そういう媚売りマンに限って無能が多いわけです。私は媚を売ってまで出世したいという欲はありませんが、無能な上司にマネジメントされるのがストレスでしょうがありませんでした。平気で無駄なことで人の時間を奪った上、マウントをとってきます。
仕事は五流、プライドだけは超一流
こんな社員が増殖しています。私の理想は逆です。
そんなこんなで、先がないこと、自分が成長することはないと判断しこの業界を引退することを決意しました。医師と話をしたりディスカッション出来ることに関しては楽しい仕事なので、今後も違う形で医療業界に関わっていきたいと考えています。
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